2025/9/27

相手の疑問に答えを返す「ミスディレクション」について

相手の疑問に答えを返す「ミスディレクション」について

Championsのラウンド解説はこちらから

相手が注意しているときをかわす

ヘイトをかわす、相手が警戒している状態で勝負をしないというのはドライ勝負では大事なことだと話してきました。

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ラークをしていてタレットを壊してラークがばれているとき、つまり相手に警戒されているときにそのまま進行して防衛側とコンタクトしても

防衛側としては「やっぱりラークがいた」となるだけです。(なるだけと言いつつもそのエリアで時間を稼ぐ必要のある場面では十分価値ある動きです)

防衛側がうざいと思うラークというのは「ラークがいるか・いないかわからない状態」だと思っています。

なので、相手が警戒しているときには一度隠れて、「引いたかも」という2択目の可能性を作るのが大事だと思っています。

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いったんチューブなどでラインを下げてコンタクトしないようにする。

相手が警戒を解いたタイミング、いないのかな?とおもったタイミングであがるほうが、足音の情報をとれたり警戒されにくい状況で勝負ができると思っています。

イメージのラウンドはこんな感じですね。

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キッチンのタレットを壊してチューブまでラインを下げる動きです。

防衛側がキッチンをクリアしてラークがいないと思わせられれば勝ちだし、VODのようにチューブまでクリアしに来たのであれば

ラークに付き合った時間分、有利な状況が生まれます。

これもヘイトドロップの例

ラークをしていて、相手と勝負もできるけど相手に「いない」と思わせて警戒を解いてからリターンをとる動き。

フランカーとしてちょっかいをだして時間を稼ぐこともできるが、時間を稼いでも挟んでくれる見方もいないのでひとりでキルをとる動きを優先した結果、警戒をかわして一人でもキルの取れる動きを使う判断。

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プロの行う間合いなどはそれにあたると思います。

顔を出して勝負することも択として選択にあります。

しかし、相手が警戒しているかもな。という瞬間に勝負しても相手もやっぱりな。となるだけです。

そうではなく、味方がベイトして敵を引き連れた瞬間などをまつのが大事だし、相手にいないかもと思ったタイミングまでまって警戒が薄れたタイミングをまつのは大事ですよね。

ねらってできるのがすごいわけではありますが。

たとえば防衛側でのラーク(単独行動)の例だとほかにもこのようなものもあります。

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防衛側のNeonの立ち位置に注目してください。

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攻め側がマーケットからBに流れてくるのがほぼ確実のような状況ですが、Neonはラーク(単独行動)の動きに徹しています。

サイト中にCypherがいるのでメイン側とはさみの形を作ることもできますが、ラークとして攻め側がおくれてメインに回ってくる人がいればそれをイージーにたおそうという動きを行っています。

ここから注目したいのは、おくれてやってくる攻め側がいないとわかり、オールマーケット流れだと気づいてからの立ち回りになります。

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Neonはふかくピークをして裏がほぼ確実にないのを確認しました。

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この立ち位置をキープしているのがわかりますか?

ここでメインにくる攻め側を倒すということもできるけど、それよりも相手にメインをあえてクリアさせて

攻め側視点「マーケットオールで流れたからAメインの可能性があるかも」→「Aクリアリングしに来る」→「Aクリアだ!」

相手のヘイトをかわしているのがわかりますか?

メインに来る相手とコンタクトしたら「ああ、やっぱりラークいた」となるだけです。

なのでいったんいないと思わせることで大きなリターンを作る動きなのです。

ラークを例にしましたが、相手の警戒している場所をかわすヘイトドロップはほかにもクロスを組んでいるときや解除のシチュエーションのテクニックにも使います。

たとえば、ピークしてくる場所が相手に予想されているときなども相手のヘイトが集まっているシチュエーションと言えます。

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たとえば、こういうシチュエーションの場合、ポジション関係的にはHarborがコンタクトしたタイミングでBrimstoneが飛び出して90度の撃ち合いをするのが丸いと思います。敵がHarborを見たときに横を突くことができるからです。

JettがHarborを倒したとしても90度振り向かないといけないという撃ち合いを強要できるのでBrimstoneがカバーキルをとりやすい状況にできるからです。

しかし、このテクニックにも1つだけ弱点があります。

それは撃ち合ってすぐに体を引かれると1v1が生まれるという可能性です。

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Jettがクロスを理解しているレベルになると、コンタクトしたら相手が出てくる位置がある程度予想ができます。

なのでコンタクトした後にすぐに

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体を隠してBrimstoneの飛び出しを警戒してエイムを置いて1v1をするという形です。

クロスを組む時においてBrimstoneのような立ち位置で飛び出す位置を警戒されている状況というのは相手のヘイトが集まっている場面とも言えます。

なのでヘイトドロップをすべき・ヘイトドロップを使える場面だと思っています。

ヘイトドロップとは相手が警戒しているのであればそれをいったんかわすというテクニックのことです。

つまり、HarborがコンタクトしたときにBrimstoneは顔をいったんださないでヘイトをかわす。いないかもと思わせる瞬間をいちど挟むことでのリターンを作るという考えです。

そしてHarborの2回目のコンタクトで顔を出すという形です。

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HarborはJettがBrimstoneのほうに流れていかないようにだけジグルで安全に管理しつつ、

コンタクトしてすぐに勝負するのではなく、ジグルの2回目・3回目のコンタクトタイミング・もしくはJettが赤い四角の点あたりの深いエリアまでまってからそこを起点にした撃ち合いにして一緒に勝負するという形です。

この形はBrimstoneを隠すテクニックとして有効だと思っています。

もちろん

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Jettがこのように抜けてきてHarborと1v1をしようとしてくる可能性もあります。

この場合はBrimstoneとのクロスを活かすことができないのでせっかくのクロスが崩れる瞬間とも言えます。

しかしジグルで相手を確認しているのであれば、相手の詰めに対してラインを下げて生存を優先した立ち回りで時間を稼ぐという択をとることができます。

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プラント位置にもよりますが、時間を稼げば相手は解除に行くしかなくなるのでタイミングを合わせて人数有利を活かす瞬間はほかにもあるので問題ないと思っています。

プラント位置やどのくらいの時間が残っているのか、稼げているのかなどはその状況によって違うと思うのでこうするべきだというのはないですが。

もちろん人によってはクロスを使える場面で確実に人数有利の撃ち合いができているときに決めきったほうが事故がないという考えもあると思います。私自身も有利な時に決めきったほうが事故は減ると思っています。

どのくらい時間稼げるのか、クロスを捨ててそのあと人数有利の撃ち合いがまた作れるのか?という部分はあると思うので結局、相手を最後に止めにピークをするのであれば遅かれ早かれクロスを組めているときに決着をつけても変わらないと思います。

なので変にタイミングをずらすようなことをしないでふつうにピークしても良いと思います。ただ、例えばクロスを組んだ時に相手に隠れられてしまうようなポジションを相手が使ってくる、相手が体を隠して1v1を作ろうとしてくるような相手であればこういうアプローチもあるという択の話です。

ヘイトをあつめるのはクロスのシチュエーションだけではありません。ほかにはプラント後の駆け引きにも使えます。

メインプラントでメインから顔を一切出さない。

ジグルとかで解除を確認しないで、一切顔を出さないことで大きなリターンを優先する動きです。

顔を出さないことでヘイトをかわして別のエリアへと警戒させるテクニックです。

リスクはもちろんありますが、とくにオープンプラントなど解除側が不利なシチュエーションでは特に有効です。

オープンプラントで解除側が圧倒的に不利なので相手を特定したいという心理状況です。

ですがあえて顔を出さないことで攻め側の有利ポジをヘイトをかわすという成功で大きなリターンで活かしています。

これも同じですね、顔をださないことでリスクはあります。なのでジグルでも良いから解除をしていないかを確認したほうが良いという意見もあると思います。ですが、顔を出さないことでのリターンの大きさを理解してテクニックの択としてひとつあるんだということです。

ここまでは相手の注目しているとき、ヘイトをどうかわすのか。かわしたらどんなリターンがあるのかというのを

撃ち合い・解除の部分で話してきました。

ヘイトをかわすだけでもリターンがある強いテクニックですが、そこからさらに

へいとをかわす→「どこにいるのだろう?」という相手に疑問が生まれる→アクションを起こし答えを与える→納得する状況をつくる

このミスディレクションについてはなそうとおもいます。

相手の疑問に答えを与えてミスディレクションを生む

<u>ミスディレクション(フェイク)とは</u>

相手の疑問がうまれればアクションを起こして納得感を与える
相手の疑いの瞬間はアクションを起こさないことで納得感を与える動き。

→簡単に言うと、相手の思考を逆に利用して間違った考えを誘導・誘発させようという考え。

フェイクもミスディレクションの一種

通常は、相手が警戒している・人数が多いと予想したときには薄いサイトを攻めるのが鉄則です。

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攻め側はAメインをとって

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一度引いたときに、防衛側がメインを取り返しに来た。

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この場合、防衛側はAクリアなのでAを薄くしてBに警戒を強めます。

なのでA警戒されているのでAは避けて、うすいBを攻めようという判断が普通です。

このときに相手がBに警戒しているとき、Aの警戒が薄い時にほかのエリアにアクションをかけることでフェイクが成立するのでAを攻めやすくなるというのが今回の内容になります。

一般的なフェイクをミスディレクションの視点から説明すると

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AメインをGekkoが取得して、Bメインを本体がとりに行きます。

B側の本体は引いた足音や引いたそぶりを見せてAローテをにおわせます。A側で待機していたGekkoがアクションを起こしてフェイクにするという形です。

これは基本的なイニシエーターのスキルを使ったフェイクのよくある動きです。

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VODのようにGekkoがアクションを起こすことで防衛側を一瞬だけ釣ることができていますが、

MIDに防衛側のJettがローテを確認できていたのですぐにフェイクとばれてしまいます。

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プラントの時には防衛側が3寄れていました。

フェイクの形自体は忠実ではありましたが、防衛側のJettの情報取りがフェイクを一瞬でばらしたといえます。

ここからはChampionsの成功例を見ます。

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AとCをコントロールしてきているという情報をつかんでいるのが攻め側の視点です。

防衛側はC側にグラビネットとペイントダンのセットで防衛側のViperをたおしたことで本体側がAに来ているのがわかっています。

ちなみに防衛側のViperはグラビネットをよけてデスしないようにすることもできますが、防衛側のOmenが前に出るのに対してホウントを壊さないと味方を隠せないのでViperがチームのやりたいことを優先した結果、ホウントを壊すトレードでよけることができなかったという状況です。

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Cにアクションを起こした後に追い炊きスモークを見てAへとローテしようとするのが攻め側になります。

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ここで防衛側のTejoがB前・MIDをドローンでクリアリングしてきました。

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このドローンによって防衛側がとれているエリアというのはほぼすべてのラインを確認できている状況と言えます。

一方で攻め側視点で防衛側がとっているのを確認出来たエリアというのは

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こうなっています。Aもたかめにとっているかもしれないという可能性の段階で、CとBは確実に防衛側が管理しているというのをつかんでいる状況です。

この状況で攻め側が考えていることは「CもBもクリアされた、であれば防衛側はAを警戒している」と考えていると思います。

ここでミスディレクションをつかうのです。

防衛側が「Aを警戒している、Aかも?」という疑問の状況であるのであればそれを利用して

Aにアクションを起こして防衛側をだまそうという考えです。

相手の「Aかも?」という疑問に対して「Aにアクション」という答えをあたえることで「やっぱり予想通りAにきた」というミスディレクションをつくろうとしているのです。

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攻め側はAにスモークをだして取り返しをにおわせます。

このスキルだけですがTejoがAに寄りはじめ、A側の配置も崩れていないです。

まさにミスディレクションの成功例と言えます。

なにがよかったのか?

それはフェイクの基本ですが相手が「○○かも」という疑問をすぐにさっちして

その疑問にアクションという答えを渡して相手の思考に納得感を与えることです。

これが作戦において重要な考えになります。

私はいろいろな作戦にセットを含めてある程度の形が存在します。その形を再現することは前提として大事ですが、それ以上に数ある作戦からどの作戦を選ぶのかという判断能力。相手がどういう状況だからどの作戦が刺さるのかというのを考えるべきだと思っています。

その一例としてとても良いラウンドだったと思います。

なんとなくAフェイクにしよう。ではなく、相手がAかもとかんがえているからAフェイクが刺さる。

Aにたいしてラッシュの印象がついているからラッシュフェイクが刺さる。

などのフェイクの作戦を実行するまでの過程が大事だと思っています。

今回はこれくらいで終わろうと思います。

また次回~。

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